経理が「古い自社ルール」に固執し、 取引先にまで強制する理由
やり方を疑い、 時代遅れと“正しく揉めた”先にある「経理2.0」
沢渡:そのためには箱物だけではなくて、ソフト。例えばあとで少し紹介しますけれども、社内のオープンスペース、あるいはオンラインでつないで読書会をやったりだとか、社内の勉強会をやったりとか。ディスカッションをする機会を総務部門の方が率先する。コミュニティリーダーと言いますけども、コミュニティを運営していくリーダーになって、知識と知識の出会い・誘発を起こしていく。これはハード構築ではなく、ソフトウェアを運用するという発想ですね。コミュニケーションをデザインすることによって、組織の問題・課題を解決していく。
「Activity Based Working」という考え方があります。オランダ発の考え方で、文字通りそれぞれの人の仕事に適した環境を提供する。そもそも、狭い会議室と暗い執務室しかない環境で生産性が上がるか、イノベーティブなことが起こり得るか? という話なんですね。これを実現するためには、総務部門単独では解決できないかもしれないです。
煩雑なルールを社員や取引先に押し付けがちな、経理部門
沢渡:もう1つ、部門名指しでいきますと、経理。「経理2.0」。経理というのもお金の面で組織を守る、ものすごく重要な役割でありつつ、悪気なく今までのやり方ありき、統制型一辺倒のやり方で社員を縛りがち。例えば煩雑なルールや運用を、社員や取引先に押し付ける。一生懸命に事業部門とお取引先が「請求書これでいいですか?」ってチェックして、最後に出したそのあとに重箱の隅をつついて、最後にちゃぶ台返し。「この文言変えてください。はい、やり直し」。
事務・間接業務を増やすのが、間接業務部門の仕事ではない
沢渡:とにもかくにも、バックオフィスのみなさんに申し上げたい。これは行政にも官公庁にも、私は霞が関でもこのスライドでよく話をするんですけども。事務作業・間接業務を増やすのが間接業務部門の仕事ではないです。「撲滅するのが仕事です」ぐらいの覚悟で正しく、なくせる間接業務はなくす、ITに乗せられる仕事は乗せ換える。クラウドサービスなど標準的なものを使っていって、そのぶん時間を浮かせて「自社の経営戦略、自社の問題・課題を解決するにはどうしたらいいか?」というところで汗かく。こういう人たちにアップデートしてほしいですね。
「どうやって自分たちの本来価値を上げていくか」
沢渡:最後にまとめとして「健全な組織のバリューサイクル」。こんな話をしたいと思います。私はこの世界をみなさんと一緒に作っていきたいんです。(スライドを指して)この宇宙の画、背景が黒ですから「宇宙」と呼んでいるんですけども。この宇宙をどう実現していくか。これ実現していくために、バックオフィスの役割って間違いなく大きいんですね。
本来価値を出せているんだっけ? 今の時代・世の中と照らし合わせた時に、自分たちは価値ある人たちになれているのか、価値ある組織になれているのか? それを邪魔するものは、業務改善によってなくしていく。業務改善をするための育成・学習、本来価値を出していくための育成・学習、ともに必要ですね。このサイクルをぐるぐる回していけるかどうか? ここにかかっています。
“余白”を作り出した、ある大企業の研究部門の話
沢渡:ある大企業の研究部門の話をしましょう。その研究部門の部門長は、こういう悩みで私にお声がけくださいました。「うちは研究部門なのに研究できていない」。どういうことですか? って聞き返したところ、彼はこう言いました。「社内説明資料作りに追われていて、ろくに研究する時間がない」。研究者も疲弊していきます、辞めていきます。「その部門をなんとかしたい」。私はこの部門長のお悩み、すばらしいと思いました。
その目標設定をして、では浮いた時間で何を研究するんだ? 機械学習? AI? 議論をして育成・学習に投資をして、業務改善にも投資をして……もうその会社は2ヶ月後に、1人2時間以上の余白作れました。こういうことだと思うんですね。みなさんそれぞれの部署が本来価値を出していけるか。本来価値を出す邪魔をするハードルに、名前をつけてなくしていけるか。
変われるバックオフィスは、自らの価値を上げる
沢渡:私は冒頭「ダムが好きです」という話をしました。ダム際ワーキングを推進しています。今の時代、ダム際でも成果を出せる、そんな働き方もできるんです。(スライドを指して)この写真で示すとおり、私はダム際でいろんなコラボレーションだとか企業間連携だとか。あるいは執筆活動をしたり、新しいビジネスモデルを生んだり、成果を出しています。
産みの苦しみ・成長痛だと思って、乗り越えてほしい
沢渡:古荘彩氏(以下、古荘):沢渡さん、ありがとうございました。私もこちらの書籍、拝読させていただいて。自分は広報という立場ですので、書籍内に「広報2.0」というセクションもございまして、大変参考にさせていただくことが多く。
沢渡:ありがとうございます。
古荘:ありがとうございました。ここからは時間残りわずかではあるんですけども、トークセッション形式でお届けしていきたいと思います。先ほどダム際の写真がたくさんあるスライドがあったと思うんですけども、そもそもダムの魅力を発見された経緯ってございますか?(笑)。
沢渡:ダムの魅力を発見した経緯……話せばめちゃめちゃ長くなるんですけども。手短に言うと、2004年でしたかね。私が日産自動車の勤め人をしていた時に、同僚となんとなく休みの日に長野県の上高地を目指したんです。当時は日産自動車の本社は、都内の銀座にありました。
古荘:なるほど。私も上高地がすごく好きなんですけど、ダムまでは気づかず。大変失礼いたしました。
沢渡:いえいえ(笑)。そんなきっかけです。
古荘:「リモートで働く」というところに関しては、ダム際じゃなくても、今はみなさん在宅(勤務)だったりすると思うんですけども。けっこう「リモートで働く」っていうだけで“井の中の蛙”と申しますか、ほかとつながってコラボレーションを生み出すっていうのが難しくなってくると、そういうふうに感じる方が多いんじゃないかなと思うんですけど。沢渡さんの実体験などございましたら、ぜひ教えていただければと思います。
沢渡:私はリモートを使いこなすことによって、むしろつながる幅が広がったという実感ですね。何事も産みの苦しみがあるので、リモートワークのような新しい働き方を経験すると、まず最初に葛藤があるんですね。例えば「ITを使いこなせない」とか、あるいはやっぱり話しかけられない、孤独になってしまうというのはあるんですけども。
古荘:「成長痛」、ありがとうございます。「ダム際で成果を出せるような働き方に」っていうところのスライドで、たくさんの方々が(写真に写って)いらっしゃったと思うんですけど。そういった方が沢渡さん以外にも増えていかれれば、それこそローカルのビジネスの活性化じゃないですけど「別に東京じゃなくても」とか。都市に限らず、時空間を越えて新しいコラボレーションがどんどん生まれていくんだな、と痛感いたしました。
沢渡:そうですね。このダム際の写真も、こういうワーケーションみたいな働き方って「フリーランスとかクリエイターとか、個人でやってるエンジニアだけがやってるんじゃないか?」って思われがちだと思うんですけども。ここに写っていらっしゃる方って、KDDIまとめてオフィス中部の方、静岡新聞の方、三菱地所の方など、大企業の方なんですね。
古荘:なるほど、ありがとうございます。確かに本の中でも「景色」って言葉は何度も出てきており、重要なキーワードなんじゃないかなと思います。たくさん示唆に富む本で、ぜひみなさんにも読んでいただければと思います。短い時間ではございましたが、沢渡さん、ありがとうございました。
沢渡:ありがとうございました。
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中小企業の経営学…会計ルールは必ず「発生主義」にすべきワケ
会計にはさまざまなルールがありますが、上場企業と中小企業では、求められるレベルが違います。 この違いを知らずに会計を学ぼうとすると、中小企業の経営には関係しない話が出てくるので、途端に難しくなります。 中小企業の実態に合わせた会計ルールとして、中小企業庁が公開している「中小会計要領」があります。ただし、対象となる会社は限られます。 ●経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や会計体制がない ●会計情報を開示する範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている ●主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い おそらく、中小企業のほとんどがこれらの条件に該当するはずです。 対象にならないのは、金融証券取引法の規制を受けたり、監査人を設置したりするような上場会社です。 中小会計要領が生まれた背景には、日本の会計規準が国際会計基準(IFRS)へと統合される流れにあったなか、「そうした会計基準は中小企業の実態に合わないのではないか」という問題意識がありました。 そこで、「中小企業にとって本当に使いやすい会計とはなんなのか」というテーマのもと議論が重ねられ、中小会計要領が取りまとめられたのです。基本となった考えは、3点あります。 (1)社長が活用しようと思えるよう、自社の経営状況の課題に役立つ会計 (2)利害関係者(金融機関、取引先、株主等)への情報提供に役立つ会計 (3)計算書類等の作成負担は最小限にとどめ、中小企業に重い負担を課さない会計 まとめると、中小企業にとって「使いやすく」「役立つ」ということを主眼に置いているということです。 そのため、上場企業に適用される「企業会計基準」と、中小企業をターゲットとする「中小企業会計要領」には、複数の相違点があります。 一つが、会社が保有する有価証券(市場価格のあるもの)の評価に関するルールです。 企業会計基準では時価で評価をする必要があり、株式の評価替えを行う手間がかかります。期末時点での株価を毎回調べて、差額を取得原価に加減しなくてはなりません。 一方、中小会計要領では、こうした有価証券であっても、原則として取得原価のままで構いません。100万円で買った株式は、基本的にずっと100万円のまま計上することができるので、会計業務は楽になります。 このように、中小会計要領には、会計を簡単にする工夫がいろいろと盛り込まれていますので、ぜひ一度目を通してみてください。中小企業庁のホームページで公開されています。 さらに、中小会計要領と似たものに、「中小企業の会計に関する指針」(中小会計指針)というものがあります。これは日本税理士連合会、日本公認会計士協会などの4団体により取りまとめられたもので、やはり中小企業に役立つ会計ルールが作られています。 中小会計指針には、中小会計要領にはない、「税効果会計」や「組織再編会計」のルールなど、より多くの項目が記載されています。中小会計要領と中小会計指針は、いずれも中小企業の会計に役立ちますが、まずは「要領」の内容を把握し、余裕があれば「指針」にも目を通しておくといいでしょう。
BtoBセールスの原理原則10 「B.接触活動 (Contact)」-「B2. 顧客の取引ルールの確認」
営業活動を進めていくうえで、特に重要な5つの条件を「BANTC条件」と表現されることがあります。「BANTC条件」とは。①Budget(予算)、②Authority(決裁権)、③Needs(必要性)、④Timeframe(導入時期)⑤Competitor(競合)の頭文字です。営業活動において基本的な営業のヒアリング項目です。ですから知らなければ、お客様に確認する項目になります。「B2. 顧客の取引ルールの確認」は、その中で、お客様の「意思決定のルール」を確認することを指しています。多くの法人企業の場合、意思決定のプロセスやルールやスケジュールが明確に規定されています。ですから、そのプロセスやルールやスケジュールを理解していなければ、商談を進めることはできません。
「B2. 顧客の取引ルールの確認」で、商談を進めるにあたって、必要な「お客様のルール」を事前に理解しているか確認する必要があります。「B2. 顧客の取引ルールの確認」の下位のレベル3は、「B2.1役割の確認」、「B2.2 取引ルール 決裁ルート・ルールの確認」、「B2.3 検討サイクルの確認」に分けました。
・B2.1 役割の確認 : 取引ルール 企業の規模にもよりますが、商談を検討する際に、組織として、役割担当を分けていることがあります。前職の会社では、それを「MAN」を探し出せと教わりました。「MAN」とは、「Money Authority 取引ルール Needs」の頭文字です。①「Money」は、予算はどこ部署が持っているか?予算を管理しているのはどこか? です。現場が持っている場合もあれば、購買部門が持っている場合もあります。契約窓口は総務部門のことが多いです。予算の権限を持っている部署を抑える必要があります。私の失敗例としては、現場から申請を挙げてもらい安心していたところ、購買部門で相見積もりになり失注した経験があります。購買部門も押さえておくべきでした。②「Authority」とは、権限を持っている人(取引ルール 部署)は誰か?発言権(専門知識)を持っているのはだれか?です。例としては、近年、ネットワーク機器やソフトウェアなどは、「情報システム部」の検証と許可がない限り、導入してはならないという取り決めが増えています。そうした部署に説明をして認証をとることが商談を進めるうえで必要になっています。資料の提出や検証作業が必要な場合があります。③「Needs」とは、必要としている部署はどこか?なぜ必要としているか?取引ルール です。例えば、商談窓口が総務の場合でも、実際に使用するのは、「Money とAuthority」ではない現場のケースもあります。「Money Authority」を持っている部署とだけで商談していると、お客様の実際の要望を見逃してしまいます。例えば、商談窓口は、総務ですが、購入の希望部署は営業部門である場合、商材の選定や要望を挙げる部署は営業部になります。その場合、お客様の要望を営業部門に確認して、提案する必要があります。営業部門の要望が強く反映されますから、営業部門から「この機種が最適です」との要望を挙げてもらうようにします。総務とだけで商談していると、価格競争になるリスクがあります。
・B2.2 決裁ルート・ルールの確認 : 企業規模や購入金額にもよりますが、社内で「決済ルート(意思決定の流れ)」や「決済できる金額の区分」が明確にルール化されているケースがあります。例えば、「決裁ルート」は、「担当者・担当部門(稟議を書いてくれる人)」→「上司・承認部門(稟議を承認してくれる人、キーマン)」→「決裁者・決済部門(取引ルール 稟議を決裁してくれる人、ライトマン)」が明確に分かれているケースがあります。私の失敗した経験では、担当者が「稟議書」を書いてくれたので安心していたところ、上位部署が他社との取引関係を考慮して、結論がひっくり返った経験があります。「決済できる金額の区分」は、購入金額で決済区分が変わり、金額によっては役員会の承認が必要なケースがあります。うまくいった例としては、この金額だと役員会の決済区分になるため、決済に時間がかかるうえ、再度、比較検討される可能性があるケースの時に、現場は何とかこの機種を入れたいと希望していただいたので、少し無理をして決済区分が上がらない金額に調整しました。別の例としては、少し裏技的ではありますが、フェーズを分割して一括購入でなく分けて納入にしたことが有ります。情報を的確に把握することにより、対応することが可能になることが有ります。
・B2.3 検討サイクルの確認 : 官公庁は特にその傾向が強いですが、一般企業でも、年間の中で商品の購入を決定するスケジュールが決まっているケースがあります。最も一般的なスケジュールは、①来年度の計画を立てる時期「商品を検討、費用を検討(来年度の計画を検討)」、②来年度予算申請する時期「計画を作成、総務・経理に提出(来年度の予算の申請)」、③予算が承認される時期「予算が決定、導入の検討(今年度の予算の承認)」、④具体的に導入を検討する時期「仕様決定、最終見積取得(購入の検討)」、⑤導入の決定「導入の稟議と承認、契約(購入の決定)」になります。お客様の検討スケジュールを理解していれば、そのスケジュール合わせて営業活動ができます。私の失敗例としては、情報を取得した時には、すでに予算化も商品の選定も済んでおり、挽回しようと慌てて営業活動をしたのですが手遅れでした。対応できる商談でしたので、痛恨の確認不足です。お客様のスケジュールに対応した営業活動が必要になります。
BtoBセールスの原理原則10 「B.接触活動 (Contact)」-「B2. 顧客の取引ルールの確認」
営業活動を進めていくうえで、特に重要な5つの条件を「BANTC条件」と表現されることがあります。「BANTC条件」とは。①Budget(予算)、②Authority(決裁権)、③Needs(必要性)、④Timeframe(導入時期)⑤Competitor(競合)の頭文字です。営業活動において基本的な営業のヒアリング項目です。ですから知らなければ、お客様に確認する項目になります。「B2. 顧客の取引ルールの確認」は、その中で、お客様の「意思決定のルール」を確認することを指しています。多くの法人企業の場合、意思決定のプロセスやルールやスケジュールが明確に規定されています。ですから、そのプロセスやルールやスケジュールを理解していなければ、商談を進めることはできません。
「B2. 顧客の取引ルールの確認」で、商談を進めるにあたって、必要な「お客様のルール」を事前に理解しているか確認する必要があります。「B2. 顧客の取引ルールの確認」の下位のレベル3は、「B2.1役割の確認」、「B2.2 決裁ルート・ルールの確認」、「B2.3 検討サイクルの確認」に分けました。
・B2.1 役割の確認 : 企業の規模にもよりますが、商談を検討する際に、組織として、役割担当を分けていることがあります。前職の会社では、それを「MAN」を探し出せと教わりました。「MAN」とは、「Money Authority Needs」の頭文字です。①「Money」は、予算はどこ部署が持っているか?予算を管理しているのはどこか? です。現場が持っている場合もあれば、購買部門が持っている場合もあります。契約窓口は総務部門のことが多いです。予算の権限を持っている部署を抑える必要があります。私の失敗例としては、現場から申請を挙げてもらい安心していたところ、購買部門で相見積もりになり失注した経験があります。購買部門も押さえておくべきでした。②「Authority」とは、権限を持っている人(部署)は誰か?発言権(専門知識)を持っているのはだれか?です。例としては、近年、ネットワーク機器やソフトウェアなどは、「情報システム部」の検証と許可がない限り、導入してはならないという取り決めが増えています。そうした部署に説明をして認証をとることが商談を進めるうえで必要になっています。資料の提出や検証作業が必要な場合があります。③「Needs」とは、必要としている部署はどこか?なぜ必要としているか?です。例えば、商談窓口が総務の場合でも、実際に使用するのは、「Money とAuthority」ではない現場のケースもあります。「Money Authority」を持っている部署とだけで商談していると、お客様の実際の要望を見逃してしまいます。例えば、商談窓口は、総務ですが、購入の希望部署は営業部門である場合、商材の選定や要望を挙げる部署は営業部になります。その場合、お客様の要望を営業部門に確認して、提案する必要があります。営業部門の要望が強く反映されますから、営業部門から「この機種が最適です」との要望を挙げてもらうようにします。総務とだけで商談していると、価格競争になるリスクがあります。
・B2.2 決裁ルート・ルールの確認 : 企業規模や購入金額にもよりますが、社内で「決済ルート(意思決定の流れ)」や「決済できる金額の区分」が明確にルール化されているケースがあります。例えば、「決裁ルート」は、「担当者・担当部門(稟議を書いてくれる人)」→「上司・承認部門(稟議を承認してくれる人、キーマン)」→「決裁者・決済部門(稟議を決裁してくれる人、ライトマン)」が明確に分かれているケースがあります。私の失敗した経験では、担当者が「稟議書」を書いてくれたので安心していたところ、上位部署が他社との取引関係を考慮して、結論がひっくり返った経験があります。「決済できる金額の区分」は、購入金額で決済区分が変わり、金額によっては役員会の承認が必要なケースがあります。うまくいった例としては、この金額だと役員会の決済区分になるため、決済に時間がかかるうえ、再度、比較検討される可能性があるケースの時に、現場は何とかこの機種を入れたいと希望していただいたので、少し無理をして決済区分が上がらない金額に調整しました。別の例としては、少し裏技的ではありますが、フェーズを分割して一括購入でなく分けて納入にしたことが有ります。情報を的確に把握することにより、対応することが可能になることが有ります。
・B2.3 検討サイクルの確認 : 官公庁は特にその傾向が強いですが、一般企業でも、年間の中で商品の購入を決定するスケジュールが決まっているケースがあります。最も一般的なスケジュールは、①来年度の計画を立てる時期「商品を検討、費用を検討(来年度の計画を検討)」、②来年度予算申請する時期「計画を作成、総務・経理に提出(来年度の予算の申請)」、③予算が承認される時期「予算が決定、導入の検討(今年度の予算の承認)」、④具体的に導入を検討する時期「仕様決定、最終見積取得(購入の検討)」、⑤導入の決定「導入の稟議と承認、契約(購入の決定)」になります。お客様の検討スケジュールを理解していれば、そのスケジュール合わせて営業活動ができます。私の失敗例としては、情報を取得した時には、すでに予算化も商品の選定も済んでおり、挽回しようと慌てて営業活動をしたのですが手遅れでした。対応できる商談でしたので、痛恨の確認不足です。お客様のスケジュールに対応した営業活動が必要になります。
BtoBセールスの原理原則10 「B.接触活動 (Contact)」-「B2. 顧客の取引ルールの確認」
営業活動を進めていくうえで、特に重要な5つの条件を「BANTC条件」と表現されることがあります。「BANTC条件」とは。①Budget(予算)、②Authority(決裁権)、③Needs(必要性)、④Timeframe(導入時期)⑤Competitor(競合)の頭文字です。営業活動において基本的な営業のヒアリング項目です。ですから知らなければ、お客様に確認する項目になります。「B2. 顧客の取引ルールの確認」は、その中で、お客様の「意思決定のルール」を確認することを指しています。多くの法人企業の場合、意思決定のプロセスやルールやスケジュールが明確に規定されています。ですから、そのプロセスやルールやスケジュールを理解していなければ、商談を進めることはできません。
「B2. 顧客の取引ルールの確認」で、商談を進めるにあたって、必要な「お客様のルール」を事前に理解しているか確認する必要があります。「B2. 顧客の取引ルールの確認」の下位のレベル3は、「B2.1役割の確認」、「B2.取引ルール 2 決裁ルート・ルールの確認」、「B2.3 検討サイクルの確認」に分けました。
・B2.1 役割の確認 : 企業の規模にもよりますが、商談を検討する際に、組織として、役割担当を分けていることがあります。前職の会社では、それを「MAN」を探し出せと教わりました。「MAN」とは、「Money Authority Needs」の頭文字です。①「Money」は、予算はどこ部署が持っているか?予算を管理しているのはどこか? です。現場が持っている場合もあれば、購買部門が持っている場合もあります。契約窓口は総務部門のことが多いです。予算の権限を持っている部署を抑える必要があります。私の失敗例としては、現場から申請を挙げてもらい安心していたところ、購買部門で相見積もりになり失注した経験があります。購買部門も押さえておくべきでした。②「Authority」とは、権限を持っている人(部署)は誰か?発言権(専門知識)を持っているのはだれか?です。例としては、近年、ネットワーク機器やソフトウェアなどは、「情報システム部」の検証と許可がない限り、導入してはならないという取り決めが増えています。そうした部署に説明をして認証をとることが商談を進めるうえで必要になっています。資料の提出や検証作業が必要な場合があります。③「Needs」とは、必要としている部署はどこか?なぜ必要としているか?です。例えば、商談窓口が総務の場合でも、実際に使用するのは、「Money とAuthority」ではない現場のケースもあります。「Money Authority」を持っている部署とだけで商談していると、お客様の実際の要望を見逃してしまいます。例えば、商談窓口は、総務ですが、購入の希望部署は営業部門である場合、商材の選定や要望を挙げる部署は営業部になります。その場合、お客様の要望を営業部門に確認して、提案する必要があります。営業部門の要望が強く反映されますから、営業部門から「この機種が最適です」との要望を挙げてもらうようにします。総務とだけで商談していると、価格競争になるリスクがあります。
・B2.2 決裁ルート・ルールの確認 : 企業規模や購入金額にもよりますが、社内で「決済ルート(意思決定の流れ)」や「決済できる金額の区分」が明確にルール化されているケースがあります。例えば、「決裁ルート」は、「担当者・担当部門(稟議を書いてくれる人)取引ルール 」→「上司・承認部門(稟議を承認してくれる人、キーマン)」→「決裁者・決済部門(稟議を決裁してくれる人、ライトマン)」が明確に分かれているケースがあります。私の失敗した経験では、担当者が「稟議書」を書いてくれたので安心していたところ、上位部署が他社との取引関係を考慮して、結論がひっくり返った経験があります。「決済できる金額の区分」は、購入金額で決済区分が変わり、金額によっては役員会の承認が必要なケースがあります。うまくいった例としては、この金額だと役員会の決済区分になるため、決済に時間がかかるうえ、再度、比較検討される可能性があるケースの時に、現場は何とかこの機種を入れたいと希望していただいたので、少し無理をして決済区分が上がらない金額に調整しました。別の例としては、少し裏技的ではありますが、フェーズを分割して一括購入でなく分けて納入にしたことが有ります。情報を的確に把握することにより、対応することが可能になることが有ります。
・B2.3 検討サイクルの確認 : 官公庁は特にその傾向が強いですが、一般企業でも、年間の中で商品の購入を決定するスケジュールが決まっているケースがあります。最も一般的なスケジュールは、①来年度の計画を立てる時期「商品を検討、費用を検討(来年度の計画を検討)」、②来年度予算申請する時期「計画を作成、総務・経理に提出(来年度の予算の申請)」、③予算が承認される時期「予算が決定、導入の検討(今年度の予算の承認)」、④具体的に導入を検討する時期「仕様決定、最終見積取得(購入の検討)」、⑤導入の決定「導入の稟議と承認、契約(購入の決定)」になります。お客様の検討スケジュールを理解していれば、そのスケジュール合わせて営業活動ができます。私の失敗例としては、情報を取得した時には、すでに予算化も商品の選定も済んでおり、挽回しようと慌てて営業活動をしたのですが手遅れでした。対応できる商談でしたので、痛恨の確認不足です。お客様のスケジュールに対応した営業活動が必要になります。
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